山登り
初めて一人で山に登った。
2000m以上の高さのある山だったので、雲の中、山々が連なっているのが一望できた。早朝の山は、人もまばらで予想以上の美しさだった。英語に「Blow my mind」という表現があるが、本当に心にさっと風が通っていくような感覚がする。
一人なのだからどんなペースで歩くのも自由なのに、つい山頂まで急いでしまう自分がいる。これではせっかくの山登りがしんどい記憶になってしまうと思いなおし、こまめに水分休憩をとって一息つく。ふと振り返ると、山頂パトロールの人が別の峰へ行く道を登っていくところだった。一歩一歩ゆっくりと歩む様子を見て、なんだか落ち着いた。
歩いていると最初は日々の雑念が浮かんでくるが、そのうち忘れる。ありきたりなことだが、山は登頂だけが目的じゃなくて、山の中にいることそのものも楽しいことなのだと思う。